新型コロナウイルスの現状

- マリヤ・クリニック・ニュース 2020.12(No.308)より -

新型コロナウイルスは第3波となり、感染者数も重症者数もこれまでで最も増えてきました。
治療薬もワクチンも開発されたということですが、ニュースなどで流される情報は意図的に操作されているように思われます。

1.新型コロナウイルス・ワクチンについて

A.有効性について

ファイザー社が開発したワクチン“BNT162b2”の有効性は9割以上と報告されました。
その臨床試験は、米国・ブラジル・アルゼンチン・南アフリカ・ドイツの18歳から85歳の38,955人がワクチンとプラセボを半々に2回ずつ接種したそうです。そして2回目の接種から7日目以後に被験者全体で162人が新型コロナウイルス感染症を発症したそうです。
このうち、プラセボの方は162例でワクチン接種者は8例ということで、有効率95%ということになります。

しかし、プラセボでも38,955人の半分19477人のうち162人しか感染していないので、99.17%は非感染となります。つまり、ワクチン接種者の8例についても、非感染者はマスクや予防措置を十分取ったので感染しなかったなどの推測がありうるほど、ワクチンの有効性を立証するには、不十分であると思われます。むろん、全否定するわけではなく、今後の結果を見守る必要がありますが、この段階での有効性の発表ということ自体が企業倫理に適っているのかと思われます。

B.遺伝子ワクチンについて

この“BNT162b2”ワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝情報をもった自己増殖型のメッセンジャー・リボ核酸(mRNA)を脂質ナノ粒子に封入したmRNAワクチンです。接種後にmRNAから新型コロナウイルスへの免疫を有する細胞形成を誘導するというものです。

このワクチン“BNT162b2”の内部にあるmRNAは、到達した細胞に対してコロナウイルスの突起生成プログラムを動かすよう指示します。これらの細胞が生み出したウイルスタンパクは、ほかの細胞を感染させることはできませんが、人体の防衛システムを作動させるだけの異質性はあります。また宿主が将来、感染性のウイルスに遭遇した場合、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を認識できるように免疫系を鍛えるだけのウイルスとしての真実性も備えてます。これまで、そのような遺伝子技術の人体への適用が許可されたことはありません。

これまでのワクチンは、ウイルスや細菌の毒性を弱めたり(生ワクチン)、感染力を失わせたり(不活化ワクチン)して作られたので、その培養に時間も手間も原料も必要としており、それほど大量生産はできなかったのです。ところが、今回のものは遺伝子ワクチンなので、短期間に一億以上のものを生産できるのです。おそらく世界各国は、人体への害よりも、経済的損失の軽減を優先して接種を進めるでしょう。

ウィキペディアによれば、「DNAは主に核の中で情報の蓄積・保存、RNAはその情報の一時的な処理を担い、DNAと比べて、必要に応じて合成・分解される頻度は顕著である。DNAとRNAの化学構造の違いの意味することの第一は『RNAはDNAに比べて不安定である。』。両者の安定の度合いの違いが、DNAは静的でRNAは動的な印象を与える。」とあります。mRNAは、タンパク質の設計図を含んだ移動性の塩基配列情報であり、細胞はDNAの情報をmRNAに転写し、新しくタンパク質から細胞を作り出すのです。

遺伝子組み換え作物というものがあります。大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、米、タマネギ、リンゴなど多岐に亘り、病害虫に強く、除草剤への耐性、腐らない、などの経済的利点で、更に開発されています。日本の輸入穀物の半分以上は遺伝子組み換え作物であると言われています。食品としての安全性が確認されていると報告されていますが、アレルギー症状の拡大はこれに原因があると指摘されます。除草剤が効かず、病害虫に強く、繁殖が強烈なので、自然の生態系には間違いなく悪影響をもたらしております。

植物でも大きく影響するものを、いよいよ人間にも投与するということには、未だその影響が確認されていない段階では、新型コロナウイルス感染以上の悪影響を人体に及ぼす可能性があります。今回の新型コロナウイルス対抗のワクチン開発でこの遺伝子ワクチンが速やかに開発された背景には、このような背景があります。残念ながら、これまでの医薬品開発は、その弊害はなおざりにされて、症状への効果だけが強調されてきたことが現実です。実際のところ、新型コロナウイルスは遺伝子の変異が激しいので、数種類のワクチンが必要であると指摘されています。現在、60種類以上のワクチン候補が研究開発されています。

2.ウイルスには薬は効かないのか

7月号で説明したように、風邪の10~15%(流行期35%)は4種のコロナウイルスを原因とします。図の意識調査でわかるように、薬で風邪が治ると誤解している人が多いようです。薬は喉の痛みや鼻水、発熱などを抑える成分を配合していますが、ウイルスを倒す効果はありません。薬は「免疫機能を発揮できるように症状を抑えて体力が奪われないようにする」ことが主な役割なのです。

医療機関で処方される抗生物質に対しても、誤解が多いようです。国立国際医療研究センター病院が今年8月に実施した調査では、約半数が「ウイルスをやっつける」と誤解しており、効果がないと正しく認識していた人は2割を切っています。近年では抗生物質の乱用で、耐性を持つ菌が生まれる問題も起きていますが、処方を求める患者もいるため医療現場はなかなか変わらないと報告されています。

新型コロナウイルスに対する抗ウイルス剤としてレムデシビルが申請後3日の5月7日に日本で承認されましたが、WHOは11月20日に効果が認められないと公表しています。開発中の他の治療薬もWHOは、新型コロナウイルスに対して効果がない、と発表しています。日本国内の治療では、抗ウイルス薬のアビガン、ステロイドホルモンのデキサメタゾンが有効な症状を確認しています。これらは日本の十分かつ高度な医療環境ならではのことだと思われます。重症化しなければ、そのような治療はなされづらいということもあるかもしれません。

3.免疫システムの強化と対処

風邪や新型コロナウイルスはもとより全ての疾病に対処するのが身体の免疫システムであり、これに勝る薬剤はありません。ところが、これは個人毎に強弱があり、年齢や栄養、そしてストレスの多少によっても随時変わってきます。そういう面で一律に処方や治療ができないので、免疫力強化というと、医薬品というよりも市販の商品や伝統的な方法が取り入れられ、消費者や患者を惑わしてしまうのです。

A.感染経路の遮断

一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあります。「飛沫感染」とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することを言います。「接触感染」とは、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染することを言います。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。感染者の糞便に含まれたウイルスが、閉鎖空間であるトイレに漂うということは注意しなければなりません。

B.免疫力とウイルスとの闘い

①タンパク質の必要性

ワクチンとは、要するに身体の免疫力に頼る仮装感染です。免疫力を強くするために必要なものは、第一に皮膚や粘膜などの上皮細胞と免疫細胞を形成するタンパク質です。成人の必要量は体重1kgあたり1g/日ですが、加齢により細胞の再生の時の再利用率が低くなるので、高齢者は1.5g/日くらいが必要になってきます。さらに、手術・外傷・感染などに対応するためにタンパク質の異化亢進がおこってタンパク質の必要量は増えます。軽度の感染ならば1.2g、中程度で1.5g、重度ですと2.0g/日くらいが必要になってきます。つまり、免疫細胞を作り出すためには多くのタンパク質が必要になるのです。また、疾患に陥ると食欲がなくなり、消化吸収力も落ちるので、日頃の貯えも大事です。タンパク質が不足すると筋肉を分解して必要量を補おうとするので、筋肉が無い人・つかない人は基本的にタンパク質不足です。

②休息と身体を温めること

平熱は普通36.5℃くらいで、免疫力は体温が1℃下がると30%くらい低下し、1℃上がると5~6倍上がるそうです。発熱により免疫力が高まり、病原体の力が弱まるので、40℃くらいまでは熱そのものによる害はないと考えられています。安易に解熱剤を投与すると免疫力は下がります。免疫細胞の供給が不足しても、体温上昇によってその効果を高めようとするのです。日常でも、お風呂に長く浸かって体温を高くすると免疫の効果が上がります。水分補給も必ずしてください。低体温や血流不足はがんにもつながります。筋肉の少ない方はエネルギー消費が少ないので体温は低くなります。

③ウイルスの多量、かつ急激な感染を避ける

マスクをし、手洗いや消毒をして、常に用心しておくことは大事です。結核菌は感染しても、通常身体の免疫機能によって発病が抑え込まれていますが、免疫機能が低下すると発病します。新型コロナウイルスも同じような傾向があり、健康な人では症状が現れない場合が多く、少しずつ体調が悪くなり、免疫機能が衰えた後に一気に重症化することがあるようです。寝不足、過労、ストレス過多などにより免疫力が衰えることも控えなければなりません

④新型コロナウイルスの特異性

7月号に説明したように、普通の風邪(普通のコロナウイルス)の感染で形成される抗体が、新型コロナに対する免疫力を兼ね備えているらしく、新型コロナウイルスが体内に入っても感染(ウイルスを定着、増殖)させないか、感染しても限定的なかたちに制限できることがあるようです。この既存の免疫作用が、新型コロナが蔓延しているのに感染や発症をしない人が多い世界の現状につながっています。ところが、新型コロナウイルスに感染しても、ほとんどの人には抗体が作られないまま治癒します。発症しても本格的にならないと抗体が作られないようです。また、新型コロナウイルスは変異が速いとも言われています。

⑤他の人に感染させない

自分は免疫力が強いと思い込み、無防備に感染して、他の人を感染させると、その人が重症化することがあります。マスクや手洗いは健全な社会人としての義務です。石けんを使った手洗いはコロナウイルスの膜を壊すことができるので有効です。手洗いの際は、指先、指の間、手首、手のしわ等に汚れが残りやすいといわれていますので、これらの部位は特に念入りに洗うことが重要です。また、流水と石けんでの手洗いができない時は、手指消毒用アルコールも同様に脂肪の膜を壊すことによって感染力を失わせることができます。