新型コロナウイルスとワクチンの新情報2

- マリヤ・クリニック・ニュース 2021.9(No.317)より -

新型コロナウイルスは現在は殆ど感染性の強いデルタ株と言われ、更に感染性が強いとも言われるラムダ株も国内で見つかり始めました。困惑する方も多いと思われますが、必要とされる情報をまとめてみました。

1.新型コロナウィルスの検査について

 新型コロナウイルスの検査について、説明します。大きく分けて、PCR検査、抗原検査(定性、定量)があります。資料は、国立感染症研究所などが発行する『新型コロナウイルス感染症 病原体検査の指針』(第4版)です。唾液検体の場合、PCR検査も抗原定量検査も発症から10日目以降は検出性能が低く、抗原定性検査では唾液検体は用いられません。新型コロナウイルスは感染の初期に一過性に増殖するのであって、症状がある期間ずっとウイルスが増殖し続けるわけではありません(国立感染症研究所感染病理部)。濃厚接触者は、曝露日から1~2日は感染していても偽陰性となる場合が多くあります。

A. PCR検査

 PCR検査とは、「ポリメラーゼ連鎖反応」(Polymerase Chain Reaction)の略でウイルス等の遺伝子(DNA:デオキシリボ核酸)を増幅させて検出する技術です。遺伝子は通常二重らせん構造をしていますが、遺伝子に熱を加えると2本鎖のDNAから1本鎖のDNAに分離することができます。この1本鎖になったDNAにDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)を使って片側のDNAを合成していき元の2本鎖のDNAを作っていきます。つまり1つだった遺伝子が2つに増えた事になります。これを繰り返していけば、ネズミ算式にDNAが増えていくということです。微量の遺伝子(DNA)を増やして検出し易くするわけです。新型コロナウイルスなどはRNAウイルスですので、逆転写(RNA→DNA)を行ってからPCR検査をしています。

B. 抗原検査

 この増幅は1回で2倍になるので36回の増幅で687億倍、40回で1兆995億倍、45回で351兆倍となります。この増幅回数は国によって基準が異なり、台湾は36回、アメリカは37~40回、スウェーデンは36~38回ですが、日本は40~45回です。この検査の説明書には、増幅回数が37回までで結果が出たら陽性、40回以上は陰性(つまり影響なし)、37~40回で出たらグレイゾーンと書いてあります。日本のPCR検査では陽性になる可能性が高いわけです。なお、陽性とは感染というわけではなく、「検査の結果、その唾液にコロナウイルスの遺伝子が存在した」ということであって、その人の免疫によって感染には至らなかったという場合もあるわけです。つまり、自宅療養ということが認められているのは、検査の増幅回数が多すぎたので、感染かどうかわからない人の症状を顕著にするため、という解釈も成り立つのです。

 症状発症から9日以内の者については、唾液を用いたPCR検査をすることができます。なお発症初日を0日とし、発症翌日を発症1日目としています。軽症・中等症においては、発症10日目以降は感染のリスクは低くなるとされています。他方、重症者(人工呼吸器またはECMOによる治療を必要とした者)は、発症15日程度までは感染性のあるウイルス排泄が長引く可能性が示唆されています(国立感染症研究所)。

抗原検査はウイルスを特徴付けるタンパク質を調べるのですが、検出には一定以上のウイルス量が必要なので、陰性であっても確定としての陰性とするにはPCR検査が必要でした。有症状者においては、発症から9日目以内の症例では確定診断として用いることができます。これまでの抗原検査キットによる抗原定性検査に加え、専門の測定機器を用いた抗原定量検査がより正確な診断(少ない量のウイルスでも検出)ができるようになり、無症状の人に対しても唾液により診断することができるようになりました。抗原定性検査は、クリニックで短時間に結果を確認できます。症状出現後9日目以内の人の陽性の確認に用いられています。

C. 抗体検査

 抗体検査はウイルスに感染すると形成されるタンパク質(抗体)が血液中に存在するかどうかを調べる検査ですが、ワクチン接種によっても陽性となるので、ウイルスを検出する検査としては用いられていません。

2.新型コロナワクチンについて

A. ワクチンの有効期間

  1. 愛知県豊明市にある藤田医科大学は、ファイザー社製のワクチンを接種した大学の教職員209人を対象に、血液中のウイルスに対する抗体の量を調査しました。1回目の接種から3カ月後の抗体の量は、2回目の接種から14日後と比べ、約4分の1にまで減少しました。接種後3カ月ぐらいの時点で割と急激な減衰がみられて、その後少しずつ下がっていくと報告されました。
  2. イスラエルでは世界でいち早くファイザー製ワクチンの接種を行い、16歳を超える人の8割以上は2回目のワクチン接種を完了して新規感染者は一時0人になりましたが、最近では8000人を超える新規感染者が出ており過去1カ月の重症者の8割は60歳以上でした。
  3. イギリス公衆衛生当局の研究で、米ファイザー製あるいは英アストラゼネカ製ワクチンを2回接種した100万人以上を対象に、2021年5月から7月の間に新型ウイルスのPCR検査で陽性となった人のデータを用いました。その結果、ファイザー製ワクチンによる防御効果は、2回目の接種から1か月後は88%、5~6カ月後には74%に低下したことが示され、アストラゼネカ製では、2回目の接種から4~5カ月後に77%から67%まで低下したと報告されました。
  4. ファイザー社は最新の分析調査で、有効性がピーク時の96%から6ヵ月後には84%に低下したというデータを提示し、ワクチンの有効性は2ヵ月ごとに低下すると報告しました。
  5. 日本ワクチン学会の理事を務める長崎大学大学院の森内浩幸教授は、番組の出演者から「菅義偉首相が国民全体で4割の2回接種を目指すことを表明している」ことから、「ワクチンの2回接種がどれぐらいの率になれば、感染者の数が抑えられるか」を聞かれ、「4割のワクチン接種では、ほとんど減らないと思います」などと指摘しました。その上で「今のワクチンのデルタ株の感染を防ぐ効果、デルタ株の感染力を考えると、恐らく人口の100%がワクチンを打ったとしても、ワクチンだけの力で感染の拡大を食い止めることは無理だと思います」と解説していました。
  6. 順天堂大学医学部の講師で、免疫学研究に20年以上従事してきた玉谷卓也氏は「開発されたワクチンは副反応も、感染予防効果も未知数。これまでワクチンの開発がこのパンデミックを抜け出すことにつながると考えられてきたが、ワクチンだけでは解決が難しい可能性が見えてきた」と言いました。一度感染したから、あるいはワクチンを接種したからといって油断してはいけないということです。再感染のリスクはゼロではなく、無症状感染することで知らぬ間に感染拡大の手助けをしてしまう可能性があるのです。

B. 遺伝子ワクチンの特性

ワクチンは、通常、免疫系を活性化させるために炎症を起こすアジュバントという物質を混ぜ込みますが、mRNAワクチンには入っていません。それにもかかわらず強い副反応があり、抗体を誘導する効果があることが報告されています。これはmRNAワクチンには、それ自体にアジュバント効果があるからと考えられます。

7月号で述べたように本来、mRNAは一回タンパク質を作ると役目が終わりになりますので、数分からせいぜい10 時間程度でヒト細胞内の酵素によって分解されることが知られています。一方で、抗体は約2ヶ月で半減し、3ヶ月でほぼなくなってしまうことがわかってきています。そのため、もし人工遺伝子が短時間で分解されてしまうのなら、3ヶ月ごとにワクチン接種が必要になってしまいます。この通りになったので、スパイクタンパク質が作り続けられているわけではない証拠となります。

C. ワクチン接種後の死亡   

厚労省は2021年8月20日までにワクチン接種後の死亡例が1093例であり、ファイザー社製で1077例、モデルナ社製で16例であると報告しました。同時に、ワクチンとの因果関係は結論付けられないとも報告しています。死亡者の大半は65歳以上で、死因は心不全、虚血性心疾患、肺炎、出血性脳卒中、大動脈疾患、虚血性脳卒中、老衰、敗血症、不整脈、窒息、呼吸不全、溺死、静脈血栓症、間質性肺疾患、多臓器機能不全症候群、の順に多いと報告されています。

  1. 新型コロナワクチンの接種が進む一方、政府や分科会は相変わらず自粛、人流抑制などの旧来型の規制を訴えるばかりです。7月30日現在、ワクチン接種後の死亡は900人を超えた(7月26日から30日の5日間だけで84人が亡くなっている。これは同じ時期のコロナ死者数より多い)が、一例としてワクチン接種との因果関係が否定できないという評価をしておらず(海外で問題になっている血小板減少がらみの出血死のケースですらそういう評価になっていない)、3例で因果関係が否定されているが、それ以外のすべてのケースが「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」とされている。精神科医の和田秀樹さんは「彼らは病床逼迫への対策や市民生活の緩和などに対する建設的な提言をほとんど行っていない。」という。(PRESIDENT Online)
  2. 厚生労働省が広報として発表している副反応や死亡例は、氷山の一角ではないかと疑念を述べる人もいます。医師の中には、副作用ではないかと疑いをもっても、報告システムがないため、どうすればいいかわからないとか、因果関係を証明できないので触れないことにしているという人もいます(岡田正彦新潟大学名誉教授 医学博士)。

3.新型コロナ治療薬について

A. イベルメクチン

イベルメクチンは、日本の大村智博士が微生物から発見、抽出した「エバーメクチン」をもとに、米国の製薬会社メルクによって開発された寄生虫駆除薬です。新型コロナの感染者が少ないアフリカ諸国を調べたところ、イベルメクチンの無料配布がされていたということで、その効果が期待されたのですが、きちんとした論文もなく、効果も安全性も証明できていません。

B. 抗体カクテル

抗体カクテルREGN-COV2 は、新型コロナウイルスSARS-CoV-2 のスパイクタンパク質を認識し、このウイルスに対する中和作用を持つ完全ヒトモノクローナル抗体 2 種(REGN10933 と REGN10987)を組み合わせた抗体カクテルであり、ウイルスの細胞への侵入を阻止することにより、増殖を抑制するとされています。新型コロナは増殖が速いので、増殖が進む前の軽症のうちに(発症から原則7日以内)、人工的に作った抗体を送り込み、自らの免疫が働くまで時間を稼ぐことをするのです。効果を上げるために2種類を使い、点滴或は皮下注射で行います。軽症・中等症の患者が対象です。

マリヤ・クリニックはVITAMIN C for COVIDに参加しています

新型コロナウイルス感染症の重症者では、ビタミンCの血中濃度が低下することを報告する論文が発表されています。これは、新型コロナウイルスによって引き起こされる炎症反応に対し、体内で大量のビタミンCが必要とされていることを表します。ビタミンCは新型コロナウイルス感染症に対する効果的かつ安価な補完治療のひとつとして期待されていますが、日本をはじめ世界中の多くの国では、新型コロナウイルス感染症におけるビタミンC補給の有用性が公的に認められていません。

そのような中、英国の特定非営利活動法人ANH(Alliance for Natural Health:ナチュラルヘルス同盟)が‘VITAMIN C for COVID(コロナウイルスにビタミンCを)’という署名運動を行っています。マリヤ・クリニックもこの運動に賛同しています。

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