感染症について

- マリヤ・クリニック・ニュース 2021.11(No.319)より -

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」は1998年に施行された法律ですが、新型コロナウイルスの対策の為に2021年2月13日に改正されました。その前文には、人類が感染症により多大の苦難を経験したとあり、また「感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。」と差別や偏見を注意しながら医療を行うことが述べられています。

A. 感染症の定義(同法律第六条より抜粋)

「一類感染症」
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱

「二類感染症」
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(ベータコロナウイルス属SARSコロナウイルス)、中東呼吸器症候群(ベータコロナウイルス属MERSコロナウイルス)、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザH5N1、H7N9)

三類感染症」
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス

「四類感染症」
E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、ボツリヌス症、マラリア、野兎病、政令で定めるもの

「五類感染症」
インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、厚生労働省令で定めるもの

「新型インフルエンザ等感染症」
新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、再興型コロナウイルス感染症 つまり、今回の新型コロナウイルスは、これまでの枠に当てはまらないので新たな分類ができたわけです。そして、今後、新しい型のインフルエンザやコロナウイルスの蔓延が予想されるのです。


B. 感染症の原因

1.感染症を引き起こす微生物(病原体)

  • 細菌(細胞壁のないマイコプラズマも含む)
  • ウイルス
  • 真菌(カビ、酵母等)
  • 回虫や蟯虫(ギョウ虫)のような寄生虫

感染は、病原体が人間の体内に侵入、定着し、増殖することで成立します。感染しても、症状が現れる場合(顕性感染)と、はっきりとした症状が現れない場合(不顕性感染)があります。不顕性感染者は、知らない間に保菌者(キャリア)となって病原体を排泄し、感染源となって感染を拡げる可能性が高いので、しばしば問題となります。

2.感染経路

  • 接触(経口)感染

接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的な接触や、手、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、ボタン等の表面を介しての接触で病原体が付着することによる感染のことです。病原体に汚染された食品・物・手指、病原体を含む汚物・嘔吐物を介して主に口から体内に侵入します。ノロウイルス、ロタウイルス、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などによる感染性胃腸炎が代表です。

HIV感染によるエイズ、クラミジアのような性行為による感染症は、血液や体液、粘膜を通して感染する接触感染になります。

病原体を持つ動物に噛まれたり、引っかかれたり、体や糞に触れることによって感染する狂犬病やトキソプラズマなどや、蚊・ノミ・ダニなどに刺されて感染するマラリアや日本脳炎などのように、動物や昆虫を媒介として感染する場合もあります。

  • 飛沫感染

飛沫感染とは、咳、くしゃみや会話によって飛んだつばやしぶき(飛沫)に含まれる病原体を吸入することで引き起こされる感染です。飛沫は直径0.005mm以上の大きさで、水分を含むため、届く範囲は感染源から1~2m程度と言われています。そのため、マスクの着用、感染源から距離をとること、換気が有効な対策となります。飛沫感染で起こる疾病の代表としては、インフルエンザ、風邪症候群、おたふく風邪、風疹などです。

  • 空気感染(飛沫核感染)

飛沫に含まれる水分が蒸発した直径0.005mm以下の粒子を飛沫核といい、空間に浮遊して広範囲に広がります。病原体は埃と共にも浮遊し、これらを吸入することで伝播することを空気感染または飛沫核感染といいます。ノロウイルス、麻疹ウイルス、結核菌などが空気感染によって感染します。

  • 垂直感染

その他、母親から胎児・新生児に、胎盤や母乳などを介して病原体が直接伝播される母子感染(垂直感染)があります。

3.身近な感染症

  • 風邪

正式には「風邪症候群」といい、鼻やのどなど上気道の粘膜に病原体が感染して起こる急性の炎症性疾患の総称です。原因となる病原体は、ほとんどがウイルスで、細菌・マイコプラズマ・クラミジアなどもあります。消化器に感染して下痢や嘔吐などを引き起こすウイルスもあり、いわゆる”お腹の風邪”といわれています。

感染して24時間~72時間後に変化が出てくるのが普通で、最初に鼻やのどに不快感を覚え、くしゃみや鼻水が出て、だるさやつらさを感じます。やがて熱が出たり、鼻水やせきが強くなったりすることもよくあります。

風邪症候群は、喘息など他の病気にかかっていると症状が長びくことになります。風邪が原因で中耳炎や副鼻腔炎、気管支炎や肺炎を併発することもあります。

  • インフルエンザ

病原体がインフルエンザウイルスである上気道感染症のインフルエンザ(流行性感冒、流感)は、風邪とは区別して扱われます。インフルエンザの場合は風邪より症状が強く出ることが多く、39℃以上の熱が5日ほど続くこともあります。それが10日以上続くケースもまれではありません。インフルエンザの合併症で多いのは肺炎で、とくに高齢者は命にかかわることもあり要注意です。若い人でも、慢性疾患がある場合は重い合併症を起こす危険性が高くなります。

  • 食中毒

殆どが細菌やウイルスに汚染された食品や水を摂取したために起こる感染性胃腸炎です。病原体となる細菌やウイルスもさまざまで、病原体によって症状も感染性も異なります。

  • 皮膚の感染症

水虫は、足白癬(あしはくせん)といいカビの1種である白癬菌が皮膚に感染して起こります。白癬菌が感染する体の部位によって水虫(足白癬)(足)、爪白癬(爪)、しらくも(頭部)、いんきん(陰部)、ぜにたむし(体部)などさまざまな名で呼ばれ、総称して白癬(はくせん)といいます。

  • 麦粒腫(ものもらい)

まぶたの縁やその下にある汗腺やまつげの毛根の細菌感染で起こります。多くの場合は皮膚表面に存在するブドウ球菌の感染によって起こるため伝染することはありません。

  • クラミジア

性行為により感染し、クラミジア・トラコマチスが病原体。男性では尿道炎が最も多く、若年層の精巣上体炎の原因ともされており、排尿痛、尿道不快感、そう痒感などの自覚症状が出ます。女性では子宮頸管炎、骨盤内付属器炎、肝周囲炎、不妊などを起こしますが、自覚症状の乏しい場合が多く、潜伏期間を特定するのは困難であるとされます。また、妊婦の感染は新生児のクラミジア産道感染の原因となり、新生児肺炎や結膜炎を起こします。また、淋菌との重複感染も多くあります。


C. 感染症の対策

1.免疫力

感染症の病原体となるウイルスや細菌は、通常、私たちの身体の内外にたくさん存在し、普段は身体の免疫力がそれに感染するのを予防しています。感染しない場合は、皮膚や粘膜でたえず排除しようとする力が働き、病原体を排除できているからなのです。ところが、この免疫の力がストレス、栄養不良、疲れ、アレルギーなど、何らかの原因により弱まると、ウイルスや細菌の感染をゆるすことになり、その数がだんだん増えていって、感染症の症状が出てきます。この時でも免疫力の強い人は感染しないですむのです。

細菌が原因の場合は抗生物質などの特効薬で抑え込むことができますが、ウイルスに対して抗生物質は無力で、完全に有効な特効薬はないのです。インフルエンザや新型コロナウイルスについては感染の初期に限っては抗ウイルス薬が有効であるとされていますが、副作用が起こるという報告もあり、すべての人に使えるわけではありません。

マイコプラズマは細胞壁を持たないため、この病原菌に対しては、細胞壁を破壊して微生物を殺すペニシリン系などの抗生物質は効きません。抗生物質は、ある一定の血中濃度以上の濃度になって初めて効力を発揮するので、飲み始めてから効果が現れるまで1~2日かかります。効果が出始めてもやめることなく、処方された量を一定の期間しっかり飲み続けることが必要です。

発熱は身体が細菌やウイルスに対して免疫力を発揮するために、必然的に起こります。抗体は38℃前後で最も効率よく作られ、これを至適温度といいます。熱を下げすぎると、細菌やウイルスに対抗する免疫細胞の活動を低下させてしまうこともあるので注意が必要です。数日経って、細菌やウイルスが減少してくると自然に解熱します。

2.身体の防御機構と栄養

① 一次防御機構(皮膚や粘膜のバリヤー)

ウイルスなどの病原体は、最初鼻やのどの粘膜にとりつきます。これに対して粘膜は、細胞が剥がれ落ちることによりこれらが侵入するのを阻止します。また、細菌を溶かすリゾチームという酵素や粘液成分のムチンを分泌して、侵入した菌の排除を行います。粘膜面に異物がとらえられた時、これを撃退するIgAという抗体(免疫グロブリン)が分泌されます。これも感染防御に大切なはたらきをするものです。

粘膜を健康に保つために、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンA、亜鉛が必要です。また、アレルギーがあると慢性の炎症部分からウイルスが侵入しやすくなるので、炎症を抑える抗ヒスタミン作用があるビタミンCやカルシウムなども積極的に摂ってください。

腸にある善玉菌が作る正常細菌叢は、乳酸を産生して、大腸菌や他の病原性大腸菌に対して抑制的な役割を果たしています。これらの細菌は、宿主との間に密接な関係を持ち、感染症を予防する機能を保っています。

② 二次防御機構(体液中の非特異的抵抗因子)

体液や血液中にもリゾチームが含まれ、グラム陽性球菌を溶解するはたらきをします。また、ウイルスの増殖を抑制するインターフェロンや、細菌に穴をあけて殺す補体といわれるタンパク質などの防御物質が多数存在し、さらに白血球の好中球やマクロファージは異物を取り込み消化して処理します。病原体の侵入後、数分で好中球の集合が始まり、12~24時間後にピークとなり、続く24時間ではマクロファージの集合が中心となります。好酸球、好塩基球、ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)なども、異物が入ってくればすぐに活性物質を放出して攻撃する免疫細胞です。

③ 三次防御機構(抗体の産生)

一次、二次の防御機構によって病原体を阻止できない時、病原体に対して特有の抗体を作って病原体を破壊したり、直接病原体を攻撃する細胞を作って集中的に病原体に対処したりする免疫が働きます。これを担うのが白血球の中のリンパ球です。オリーブ葉エキスは、抗ウイルス作用と抗菌作用のある感染症対策に有効なサプリメントです。

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